多動症候群の診断基準1
多動症候群の診断基準を表・に紹介します。
DSM-・(1994年)というアメリカ精神医学会で作成した精神疾患の診断統計
マニュアルにもあるものです。

評価項目が[A(1)・不注意]と[A(2)・多動性-衝動性]に分けられて各9項目あます。
A(1)・A(2)とも6項目以上あるものを 「注意欠陥/多動性障害、混合型」 と診断します。
A(1)のみ6項目以上あるものを 「注意欠陥/多動性障害、不注意優勢型」 と診断します。
A(2)のみ6項目以上あるものを 「注意欠陥/多動性障害、多動性-衝動性優勢型」 と診断します。
数項目ずつあてはまることは、気が散りやすい、落ち着かない程度の子によくありますが (ちなみに著者はA(1)・不注意が5項目、A(2)・多動性-衝動性は2項目があてはまりました)、この診断基準をしっかり満たす場合は、やはり何がしかの対応が必要な子どもという印象があります。


表・ DSM-・
●注意欠陥/多動性障害
Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder A.(1)か(2)のどちらか:
(1)以下の不注意の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6カ月以上続いたことがあり、その程度は不適応的で、発達の水準に相応しないもの:
不注意
    (a)学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意することができない、ま たは不注意な過ちをおかす。
    (b)課題または遊びの活動で注意を持続することがしばしば困難である。
    (c)直接話しかけられた時にしばしば聞いていないように見える。
    (d)しばしば指示に従えず、学業、用事、または職場での義務をやり遂げることができない (反抗的な行動または指示を理解できないためではなく)。
    (e)課題や活動を順序立てることがしばしば困難である。
    (f)(学業や宿題のような)精神的努力の持続を要する課題に従事することをしばしば避ける、 嫌う、またはいやいや行う。
    (g)(例えばおもちゃ、学校の宿題、鉛筆、本、道具など)課題や活動に必要なものをしばし ばなくす。
    (h)しばしば外からの刺激によって容易に注意をそらされる。
    (i)しばしば毎日の活動を忘れてしまう。
(2)以下の多動性-衝動性の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6カ月以上持続したことがあり、その程度は不適応的で、発達水準に相応しない:多動性
    (a)しばしば手足をそわそわと動かし、またはいすの上でもじもじする。
    (b)しばしば教室や、その他、座っていることを要求される状況で席を離れる。
    (c)しばしば、不適応な状況で、余計に走り回ったり高い所へ上がったりする(青年または成 人では落ち着かない感じの自覚のみに限られるかも知れない。)
    (d)しばしば静かに遊んだり余暇活動につくことができない。
    (e)しばしば“じっとしていない”またはまるで“エンジンで動かされるように”行動する。
    (f)しばしばしゃべりすぎる。
衝動性
    (g)しばしば質問が終わる前にだし抜けに答えてしまう。
    (h)しばしば順番を待つことが困難である。
    (i)しばしば他人を妨害し、邪魔する(例えば、会話やゲームに干渉する)。
B.多動性-衝動性または不注意の症状のいくつかが7歳未満に存在し、障害を引き起こしている。
C.これらの症状による障害が2つ以上の状況において(例えば、学校[または仕事]と家庭)存在する。
D.社会的、学業的または職業的機能において、臨床的に著しい障害が存在するという明確な証拠は存在しなければならない。
E.その症状は広汎性発達障害、精神分裂病、またはその他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではなく、他の精神疾患(例えば、気分障害、不安障害、解離性障害、または人格障害)ではうまく説明されない。

多動症候群の診断基準2
多動症候群の診断基準を表・に紹介します。

WHO(世界保健機構)の国際疾病分類第10版(ICD-10 1992年)では、「多動性障害」という名称でその診断基準が示されています。 これらを用いた診断によると、多動症候群は、 小学校に入るくらいの子どものうち、少なくとも3%程度存在すること、男女比は6対1と、圧倒的に男児に多いことがわかっています。
表・ ICD-10
●F90多動性障害
Hyperkinetic Disorders
注:多動性障害の研究用診断では、さまざまな状況を通して広範にかついつの時点でも持続するよう な、不注意や多動、そして落ち着きのなさを異常なレベルで明らかに確認されておくことが必要である。またこれは自閉症や感情障害などといった他の障害に起因するものではない。  G1.不注意
次の症状のうち少なくとも6項が6カ月間以上持続し、その程度は不適応を起こすほどで、その子どもの発達段階と不釣り合いであること。
    (1)学校の勉強・仕事・その他の活動において、細かく注意を払えないことが多く、うっか  りミスが多い。
    (2)作業や遊戯の活動に注意集中を持続できないことが多い。
    (3)自分に言われたことを聴いていないように見えることが多い。
    (4)しばしば指示に従えない、あるいは学業・雑用・作業場での仕事を完遂することができ  ない。(反抗のつもり、または指示を理解できないためではなく)。
    (5)課題や作業をとりまとめるのが下手なことが多い。
    (6)宿題のように精神的な集中力を必要とする課題を避けたり、ひどく嫌う。
    (7)学校の宿題・鉛筆・本・玩具・道具など、勉強や活動に必要な特定のものをなくすこと  が多い。
    (8)外部からの刺激で容易に注意がそれてしまうことが多い。
    (9)日常の活動で物忘れをしがちである。
G2.過活動
次の症状のうち少なくとも3項が6カ月間以上持続し、その程度は不適応を起こすほどで、
その子どもの発達段階と不釣り合いであること。
    (1)座っていて手足をモゾモゾさせたり、身体をクネクネさせることがしばしばある。
    (2)教室内で、または着席しておくべき他の状況で席を離れる。
    (3)おとなしくしているべき状況で、ひどく走り回ったりよじ登ったりする(青年期の者や成  人ならば、落ち着かない気分がするだけだが)。
    (4)遊んでいて時に過度に騒々しかったり、レジャー活動に参加できないことが多い。
    (5)過剰な動きすぎのパターンが特徴的で、社会的な状況や要請によっても実質的に変わる  ことはない。
G3.衝動性
次の症状のうち少なくとも1項が6カ月間以上持続し、その程度は不適応を起こすほどで、
その子どもの発達段階と不釣り合いであること。
    (1)質問が終わらないうちに、出し抜けに答えてしまうことがよくある。
    (2)列に並んで待ったり、ゲームや集団の場で順番を待てないことがよくある。
    (3)他人を阻止したり邪魔したりすることがよくある
    (例:他人の会話やゲームに割り込む)。
    (4)社会的に遠慮すべきところで、不適切なほどに過剰に喋る。
B.多動性-衝動性または不注意の症状のいくつかが7歳未満に存在し、障害を引き起こしている。
C.これらの症状による障害が2つ以上の状況において(例えば、学校[または仕事]と家庭)存在する。
D.社会的、学業的または職業的機能において、臨床的に著しい障害が存在するという明確な証拠は存在しなければならない。
E.その症状は広汎性発達障害、精神分裂病、またはその他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではなく、
他の精神疾患(例えば、気分障害、不安障害、解離性障害、または人格障害)ではうまく 説明されない。

G4.発症は7歳以前であること。

G5.広汎性
この基準は、複数の場面で満たされること、たとえば、不注意と過活動の組み合せが家庭と学校の両方で、
あるいは学校とそれ以外の場面 (診療室など)で観察される(いくつかの場面でみられるという証拠として、
通常複数の情報源が必要である。
たとえば、教室での行動については親からの情報だけでは十分とはいえない)。

G6.
G1-G3の症状は、臨床的に明らかな苦痛をひき起こしたり、あるいは社会的・ 学業上・仕事面での機能生涯をひき起こすほどであるということ。

G7.
この障害は広汎性発達障害(F84.-)、躁病エピソード(F30.-)、うつ病エピソード(F32.-)、または不安障害(F41.-)の診断基準を満たさないこと。




|本のご紹介|
※参考文献 すずき出版
  落ち着きのない子どもたち多動症候群への理解と対応
著者 石崎朝世


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